2011年4月発行の最近の記事

弁護士 諸富 健

1 事案の概要
 控訴人(一審原告)は,被控訴人NTTの研究所が勤務地であるというW社の求人情報を見て応募したところ,W社社長による面接,S社社長とNTT100%子会社の被控訴人NTT・AT課長による面接,NTT研究員2名とNTT・AT課長による面接を順次受けた。1度目の面接は10分程度で終わり,2度目の面接では英語力の有無や長期勤務の可能性を確認され,3度目の面接では英字新聞の和訳を求められTOEIC700点以上の英語力があると評価された。その結果,控訴人はNTTの研究所での採用が決まった。NTT→NTT・AT→S社等→W社と業務委託の形式が採られており,NTTはNTT・ATに月額50万円支払っていたが,控訴人が受け取っていた賃金は月額18万3000円であった。
自由法曹団京都支部

 3月11日に発生した東日本大震災は、日本における観測史上最大の巨大地震とされ、地震と津波による被害は甚大なものになっています。
 自由法曹団京都支部は、痛ましい犠牲となった方々に対し、心から哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 自由法曹団では、この大震災に対処すべく、東日本大地震対策本部を東京に設置し、阪神・淡路大震災の時の経験を生かして、被災地の自由法曹団員・法律事務所とともに様々な活動・提言を行っていくこととしています。
 自由法曹団京都支部は、対策本部の提起を踏まえ、京都に避難されてこられた被災者の方々に対する支援体制を検討していく予定です。
 地震と津波により発生した福島原子力発電所の事故は、これまでの我が国の原子力行政のあり方を問うものであり、被害の拡大を防ぐためにも、正確な情報を開示するとともに、世界的な協力を求めていくことが必要です。
 同時に、事故現場で働く労働者の被曝問題も大いに懸念されるところです。
 京都においては、福井県の原子力発電所から80キロ圏内に入っており、関西電力への原子力発電所の安全点検・情報開示を求めていくことが必要です。
 一方で、「仕事が減ったから」と震災に便乗するような解雇、非正規切りや、「自宅待機」を一方的に命じられ、賃金保証がされないなどの相談や「内定取り消し」も見られるようになっており、こうした動きに対する対応を全国的に検討することも求められています。 
  生活基盤を破壊された被災者の方々の生活再建は公的に保障されるべきであり、政府の責任で災害の保障を行うことは、憲法25条が求める社会国家の責務です。復興にあたっては住民本位・人間本位の復興・まちづくりが貫かれることが必要です。
吉本晴樹

一 団京都支部では、この間、京都府北部地域における団員・団事務所の配置に取り組んできた。同地域においては、一九六九年に小林義和団員が舞鶴で事務所を設立し、次いで一九八五年に宮本平一団員が福知山法律事務所を設立して、以来、両事務所が地域に根ざした民主的法律事務所としての活動を続けてきた。しかし、後継者対策の必要から、新たな団員の派遣が要請されてきた。
 そこで、派遣されることになったのが私である。当時は新入団員であった私を派遣するにあたり、京都支部は次のようなロードマップを用意した。
 ステップ(1)登録一年目は、京都第一法律事務所にてトレーニングを積む(〇八年一二月〜一〇年四月)。
 ステップ(2)二年目は、福知山法律事務所に移籍して、勤務弁護士をしながら更に経験を上積みする(一〇年五月〜一年間を目処)。
 ステップ(3)その後、舞鶴にて独立して団事務所を立ち上げる。
 本原稿執筆時点(一一年三月末)ではステップ?の最終段階にあり、本年五月の開業(ステップ?)に向け準備を進めているところである。
 本稿は、私の福知山での約一年間の経験を踏まえた報告である。
 2011年3月31日、京都地裁にて、京都大学時間雇用職員雇止め事件につき判決が言い渡された。
 現在、日本の多くの大学で、任期付雇用や、3年ないし5年を上限とする不更新条項を設けるなどにより、いとも簡単に非正規事務職や非常勤講師が使い捨てられることが問題となっている。京都は「大学の街」である。私も、この間このような問題に関する相談を沢山受けてきた。

疲弊するイギリスの小選挙区制

弁護士 渡辺輝人

始めに
 イギリスでは、国会下院の選挙での小選挙区制廃止と対案投票制(AV)という制度の導入の賛否を問う国民投票を5月5日に実施します。以下の文章は、2月20日?27日の日程で、立命館大学小堀眞裕教授と自由法曹団が合同で行ったイギリスの動向の調査について、自由法曹団向けに書いたレポート原稿の抜粋です。今後レポートは自由法曹団から公表される予定ですので、詳細はそちらをご覧頂きたく存じます。
秋山健司

 一般市民から選ばれた裁判員が裁判官と一緒に刑事裁判に参加する「裁判員制度」が施行されてまる2年を迎えようとしています。既に1万人を超える一般市民の方々が裁判員(補充裁判員含む。)として法廷での審理を経験しています。裁判員経験者からは、「参加することにより犯罪が起こる社会的背景を身近に感じ、この経験を活かしていく必要を感じた。」等の感想も聞かれています。また「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の大原則に照らして無罪判決が宣告されたケースも見られるようになってきています。裁判員裁判を通じて社会の問題を一般市民の方々が身近に考え社会をよりよくするための活動が始まる、「絶望的」と言われていた刑事裁判が市民参加によって変わってくる、そういう良い兆しが見え始めている状況にあると思います。